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- この記事でわかること
- まず大事なのは「辞めるかどうか」より、今の状態を確認すること
- 落とし穴1:失業給付は「辞めたら必ずすぐもらえるお金」ではない
- 落とし穴2:傷病手当金は「退職後に新しくもらえる制度」ではない
- 落とし穴3:「自己都合退職」だけで片づけると、不利になることがある
- 落とし穴4:退職後の健康保険は、自動で良い形になるわけではない
- 落とし穴5:生活困窮者自立支援制度は「最後の最後」だけの制度ではない
- 今の状態別・最初に確認する場所
- 退職前に確認するチェックリスト
- 転職エージェントは、使うタイミングを間違えないことが大切
- 関連記事:20代・第二新卒で次の職場探しに悩んでいる方へ
- まとめ:「辞める前に確認する」は、自分を守るための準備です
- 今日できる小さな一歩
この記事でわかること
- 仕事が限界だと感じたとき、退職前に確認したいこと
- 傷病手当金、雇用保険、健康保険でつまずきやすい点
- 体調不良で働けない人と、すぐ転職活動できる人で使える制度が違うこと
- 生活費や家賃が不安なときの相談先
- 「今日、まず何を確認すればいいか」
「もう働けないかもしれない」
そう思うときがあります。
朝、目が覚めた瞬間から体が重い。
仕事のことを考えるだけで、胸がざわざわする。
会社に行かなきゃと思うのに、布団から起き上がれない。
休日なのに、月曜日のことを考えて休んだ気がしない。
そんな日が続くと、頭の中では何度も同じ言葉がぐるぐる回り始めます。
「辞めたい」
「でも、辞めたらお金はどうなるんだろう」
「家賃は?」
「保険料は?」
「病院代は?」
「次の仕事が見つからなかったら?」
仕事はつらい。
でも、辞めたあとの生活も怖い。
この板挟みが、いちばん人を動けなくさせます。
まず最初に伝えたいのは、退職を考えること自体が悪いわけではない、ということです。
心や体が限界に近いなら、そのサインを無視しない方がいいです。
ただし、勢いで退職届を出す前に、確認しておいた方がいいことがあります。
それが、お金と制度のことです。
制度は、困ったときに支えてくれる大事な仕組みです。
でも、使える条件や順番を間違えると、「使えると思っていたのに使えなかった」ということがあります。
この記事では、社会福祉の相談支援に関わってきた立場から、退職前に確認してほしい制度と、つまずきやすい落とし穴を整理します。
難しい制度名を覚えるためではありません。
今日、自分が何を確認すればいいかが見えるようにするための記事です。
まず大事なのは「辞めるかどうか」より、今の状態を確認すること
仕事が限界になると、頭の中は「辞める」「辞めない」の二択になりがちです。
でも、実際には、その前に自分の状態を分けて見た方がいいことがあります。
それは、今のしんどさがどの種類なのか、ということです。
たとえば、同じ「もう無理」でも、中身は人によって違います。
- 体調が崩れている
- 心が疲れきっている
- 職場の人間関係がつらい
- 仕事内容が合わない
- 収入や生活費が不安
- 家族や介護の問題も重なっている
- 退職後の制度がわからない
- そもそも何から考えればいいのかわからない
この中身を分けないまま退職を決めると、あとから困ることがあります。
特に大事なのは、次の2つです。
今すぐ働ける状態なのか。
今は休養や治療が必要な状態なのか。
ここで使える制度が変わります。
たとえば、雇用保険の基本手当、いわゆる失業給付は、原則として「働く意思と能力があり、求職活動ができる人」のための制度です。
一方で、病気やけがで仕事に就けない状態なら、健康保険の傷病手当金や、雇用保険の受給期間延長などを先に確認する必要が出てきます。
つまり、最初に見るべきなのは、求人ではありません。
今の自分は、働ける状態なのか。休む必要がある状態なのか。
ここです。
ここを間違えると、転職活動も制度利用も、かえって苦しくなってしまいます。
落とし穴1:失業給付は「辞めたら必ずすぐもらえるお金」ではない
退職を考えたとき、多くの人が最初に思い浮かべるのが「失業保険」かもしれません。
ただ、正確には雇用保険の「基本手当」と呼ばれるものです。
この基本手当には、いくつか条件があります。
まず、原則として、離職前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です。
倒産、解雇、やむを得ない理由などで特定受給資格者や特定理由離職者に該当する場合は、離職前1年間に6か月以上で受給資格を得られることがあります。
ここで大事なのは、働いた期間が短い場合、すぐに対象にならないことがあるという点です。
たとえば、入社して数か月で退職した場合、雇用保険の加入期間が足りず、基本手当の対象にならないことがあります。
また、もう一つ大事な点があります。
基本手当は、病気やけがで今すぐ働けない人が、すぐに受け取るための制度ではありません。
「働きたい」「働ける」「求職活動をしている」のに仕事が見つからない人を支える制度です。
つまり、心身の不調でしばらく働けない状態なら、
「退職したら失業給付をもらって休めばいい」
とは単純に考えない方がいいです。
この場合は、ハローワークで受給期間の延長を確認する必要があります。
ここで確認したいこと
特に、離職票の退職理由は大事です。
実際には体調不良、職場環境、契約更新なし、会社都合に近い事情があったのに、離職票では単純な自己都合になっていることもあります。
違和感があるときは、ハローワークの窓口で相談してください。
ここを黙って飲み込んでしまうと、あとから不利になることがあります。
落とし穴2:傷病手当金は「退職後に新しくもらえる制度」ではない
体調が悪くて働けないときに確認したい制度が、健康保険の傷病手当金です。
傷病手当金は、業務外の病気やけがで仕事を休み、給与が十分に受けられないときに、生活を支えるための制度です。
ただし、ここにも大事な落とし穴があります。
それは、退職後に初めて申請すれば何とかなる、という制度ではないということです。
在職中に健康保険に加入していて、医師の証明があり、仕事に就けない状態で、連続した3日間を含む4日以上仕事に就けず、給与が支払われないなどの条件を満たす場合に対象になります。
退職後も継続して傷病手当金を受けるには、退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あることや、退職日の前日に傷病手当金を受けている、または受けられる状態であることなど、さらに条件があります。
つまり、入社して数か月で退職する場合、退職後の継続給付が使えないことがあります。
だからこそ、体調不良で限界を感じている人ほど、退職前に確認してほしいのです。
退職前に確認したいこと
ここで大切なのは、退職を急がないことです。
もちろん、命や安全に関わる危険がある場合は、すぐ離れることが優先です。
ただ、「お金の不安が大きい」「体調不良で働けない」「休職できる可能性がある」という場合は、退職より先に、主治医、会社の人事・総務、加入している健康保険に確認した方が安全です。
制度は、入口を間違えると使えなくなることがあります。
ここは本当に注意してほしいところです。
落とし穴3:「自己都合退職」だけで片づけると、不利になることがある
退職理由は、制度利用に関わることがあります。
たとえば、雇用保険では、会社都合なのか、自己都合なのか、やむを得ない理由があるのかによって、受給条件や給付制限、給付日数に影響することがあります。
もちろん、自分で「これは会社都合です」と決められるわけではありません。
最終的にはハローワークが判断します。
でも、だからこそ、退職前後の記録が大切です。
たとえば、次のような事情がある場合は、メモを残しておくと相談しやすくなります。
- 長時間労働が続いていた
- ハラスメントを受けていた
- 体調不良で勤務継続が難しくなった
- 契約更新がされなかった
- 会社から退職を促された
- 配置転換や業務内容の変更で大きな負担が出た
- 相談しても改善されなかった
大げさな証拠を集めようとしなくても、まずは日付つきでメモするだけでも違います。
「いつ、何があり、どう困ったのか」
この記録があると、医師、会社、ハローワーク、相談窓口に状況を伝えやすくなります。
逆に、何も記録がないと、あとから説明しようとしても、疲れているときほど言葉が出てきません。
仕事で限界のとき、頭の中は散らかった机のようになります。
メモは、その机の上に小さな仕切りを作るようなものです。
完璧に書かなくて大丈夫です。
まずは、スマホのメモに一行でも残してください。
落とし穴4:退職後の健康保険は、自動で良い形になるわけではない
退職すると、会社の健康保険から外れます。
その後の健康保険は、自分で選んで手続きする必要があります。
主な選択肢は、
- 任意継続
- 国民健康保険
- 家族の健康保険の扶養に入る
の3つです。
ここで注意したいのは、任意継続には手続き期限があることです。
協会けんぽの場合、退職日の翌日から20日以内に手続きが必要とされています。
国民健康保険は市区町村、扶養は家族の勤務先の健康保険で確認します。
保険料も人によって変わります。
任意継続は退職前の保険料より高く感じることがありますし、国民健康保険は前年所得や自治体によって違います。
扶養に入れるかどうかも、収入見込みや家族の健康保険の条件によって変わります。
つまり、退職後の健康保険は、なんとなく選ぶものではありません。
退職前後に確認したいこと
- 退職後、どの健康保険に入るか
- 任意継続の期限に間に合うか
- 国民健康保険料はいくらくらいになりそうか
- 家族の扶養に入れる可能性はあるか
- 通院中の病院があるか
- 傷病手当金との関係で注意点がないか
体調が悪いときほど、保険証が切れる不安は大きくなります。
退職日が決まりそうな段階で、早めに確認しておくと安心です。
落とし穴5:生活困窮者自立支援制度は「最後の最後」だけの制度ではない
仕事を辞めたいけれど、生活費が不安。
家賃が払えるかわからない。
貯金が少ない。
家族にも頼れない。
そういうとき、ぜひ知っておいてほしいのが、生活困窮者自立支援制度です。
名前だけ見ると、少し重く感じるかもしれません。
でも、この制度は「生活が完全に崩れてから行く場所」ではありません。
仕事、住まい、家計、就労準備など、生活の困りごとを相談できる窓口です。
自治体の自立相談支援機関で、状況に応じた支援を一緒に考えてもらえます。
たとえば、家賃の支払いが難しい人には、条件を満たす場合に住居確保給付金が使えることがあります。
すぐ一般就労が難しい人には、就労準備支援につながる場合もあります。
家計がぐちゃぐちゃになっている場合は、家計改善支援を受けられることもあります。
ここで大切なのは、恥ずかしいことではない、ということです。
生活が苦しくなると、人は「自分が悪い」と思いがちです。
でも、病気、失業、家族の事情、職場環境、収入減少が重なれば、誰でも生活は揺れます。
相談窓口は、責めるための場所ではありません。
今の状況を一緒にほどくための場所です。
相談前にメモしておくとよいこと
- 毎月の家賃
- 収入の見込み
- 貯金額
- 支払いが迫っているもの
- 通院や薬代
- 家族に頼れるかどうか
- 退職予定日または退職日
- 働ける状態か、休養が必要か
全部きれいに説明できなくても大丈夫です。
「仕事が限界で、お金と生活が不安です」
この一言からでも相談は始められます。
今の状態別・最初に確認する場所
制度は、順番が大切です。
ここで、ざっくりと最初に確認する場所を整理します。
体調不良で働けない場合
まず確認したいのは、医療機関と健康保険です。
- 主治医に仕事を続けられる状態か相談する
- 診断書が必要か確認する
- 会社に休職制度があるか確認する
- 傷病手当金の対象になるか健康保険に確認する
- 退職を急がず、休職や有給も含めて考える
この場合、転職活動を急ぐより、まず体を守ることが優先です。
退職後、すぐに働ける状態の場合
確認したいのは、ハローワークと転職支援です。
- 雇用保険の加入期間を確認する
- 離職票の退職理由を確認する
- 基本手当の対象になるか確認する
- 求職活動の準備をする
- 必要に応じて転職エージェントも使う
この場合は、制度確認と転職活動を並行して進めることがあります。
生活費や家賃が不安な場合
確認したいのは、自治体の相談窓口です。
- 自立相談支援機関
- 住居確保給付金の相談窓口
- 市区町村の福祉・生活相談窓口
- 社会福祉協議会
- 家計改善支援
「まだ大丈夫」と思っているうちに相談した方が、選択肢は残りやすいです。
家賃を滞納してから、スマホが止まってから、食費が尽きてからでは、動くエネルギーも減ってしまいます。
早めの相談は、弱さではなく準備です。
職場のハラスメントや労働問題がある場合
確認したいのは、会社の相談窓口、労働局、労働基準監督署、総合労働相談コーナーなどです。
- パワハラ、セクハラ、いじめ
- 未払い残業代
- 退職を認めてもらえない
- 有給を使わせてもらえない
- 退職理由が実際と違う
- 労災の可能性がある
こうした場合は、制度だけでなく労働相談も必要になることがあります。
特に、仕事が原因で病気やけがをした可能性がある場合は、健康保険の傷病手当金ではなく、労災保険の対象になることもあります。
判断に迷ったら、一人で決めずに相談窓口で確認してください。
退職前に確認するチェックリスト
退職を考えている人は、次の項目を確認してみてください。
全部を一気にやらなくても大丈夫です。
今日は一つだけでも十分です。
体調・医療の確認
- いつから体調が悪いか
- どんな症状が出ているか
- 病院に行っているか
- 主治医に仕事のことを相談したか
- 診断書が必要か
- 休職した方がよい状態か
会社関係の確認
- 有給休暇が何日残っているか
- 休職制度があるか
- 退職日を急いで決めていないか
- 退職理由をどう扱われるか
- 離職票の退職理由を確認できるか
- 会社に相談窓口があるか
お金の確認
- 毎月の固定費はいくらか
- 家賃、スマホ代、保険料、借入返済はいくらか
- 貯金で何か月生活できるか
- 次の収入予定はあるか
- 家族や親族に一時的に相談できるか
制度の確認
- 雇用保険に何か月加入しているか
- 健康保険に何か月加入しているか
- 傷病手当金の対象になりそうか
- 基本手当の対象になりそうか
- 体調不良で働けない場合、受給期間延長が必要か
- 退職後の健康保険をどうするか
- 自立相談支援機関に相談できるか
紙に書くのがつらいときは、スマホに一行だけでも大丈夫です。
「健康保険証を見る」
「雇用保険の加入期間を確認する」
「病院で仕事のことを相談する」
このくらい小さくていいのです。
転職エージェントは、使うタイミングを間違えないことが大切
転職エージェントは便利です。
履歴書や職務経歴書、面接の準備、求人選びを一人で抱えなくて済むからです。
ただし、体調がかなり悪いときに、無理に転職活動を進めると、さらに消耗することがあります。
だから、転職エージェントを使うかどうかは、今の状態によって分けた方がいいです。
転職エージェントが向いている人
- すぐに働ける体調ではある
- 次の職場を探す必要がある
- 退職理由の伝え方に不安がある
- 一人で求人を選ぶのが不安
- 20代・第二新卒で次の職場探しに悩んでいる
- 職場選びの軸を一緒に整理したい
先に休養や制度相談を優先した方がいい人
- 眠れない、食べられない状態が続いている
- 通勤しようとすると体が動かない
- 強い不安や抑うつ感がある
- 医師から休養をすすめられている
- 求職活動をする気力がほとんど残っていない
- 家賃や生活費がすぐに危ない
この場合は、転職より先に、医療、健康保険、ハローワーク、自治体の相談窓口を確認してください。
転職エージェントは、悪いものではありません。
ただ、万能の相談先ではありません。
働ける状態の人には転職支援。
働けない状態の人には医療と制度。
生活が崩れそうな人には自治体の生活相談。
このように、相談先を分けることが大切です。
関連記事:20代・第二新卒で次の職場探しに悩んでいる方へ
もしあなたが20代で、数ヶ月で会社を辞めたい、または早期退職後の転職に不安がある場合は、下記の記事も参考にしてください。
新卒で会社を数ヶ月で辞めるのは甘え?心を壊す前に確認したいこと
この記事では、早期退職を「失敗」と決めつけず、次の職場選びで確認したいことや、20代・第二新卒向けの就職支援サービスの使い方を整理しています。
ただし、今すぐ働けないほど体調が悪い場合は、先にこの記事で紹介した制度や相談先を確認してください。
転職活動は、心と体が少し戻ってからでも遅くありません。
まとめ:「辞める前に確認する」は、自分を守るための準備です
仕事が限界。
もう働けないかもしれない。
そんなふうに感じるとき、必要なのは「もっと頑張ること」だけではありません。
自分を守るために、制度と相談先を確認することです。
退職前に確認してほしいのは、この5つです。
- 今の自分は働ける状態か、休養が必要な状態か
- 傷病手当金の対象になりそうか
- 雇用保険の基本手当の条件を満たしているか
- 退職後の健康保険をどうするか
- 生活費や家賃が不安なら、自立相談支援機関につながれるか
国の制度は、聞きなれない言葉の羅列で億劫になるかもしれません。
でも、本来は人を困らせるためではなく、生活が崩れそうなときに支えるためのものです。
ただ、その扉は、場所によって開け方が違います。
健康保険に聞くこと。
ハローワークに聞くこと。
自治体に聞くこと。
医師に相談すること。
会社に確認すること。
それぞれ少しずつ違います。
だから、一人で全部わかろうとしなくて大丈夫です。
今日やることは、一つでいいです。
健康保険証を見る。
雇用保険の加入期間を確認する。
病院で「仕事を続けるのがつらい」と伝える。
自治体の相談窓口を検索する。
小さな一歩でも、地図の端が少し見えてきます。
退職届を書く前に、まず地図を広げ直す。
それは、逃げではありません。
これからの自分を守るための、静かな準備です。
今日できる小さな一歩
次の中から、できそうなものを一つだけ選んでください。
- 健康保険証を見て、加入先を確認する
- 雇用保険に何か月入っているか、給与明細や会社資料で確認する
- 有給休暇の残日数を確認する
- 体調不良があるなら、病院で仕事のことを相談する
- 家賃や固定費を紙に書き出す
- 自分の市区町村名と「自立相談支援機関」で検索する
- ハローワークに相談する内容をメモする
全部やらなくて大丈夫です。
まずは一つ。
生活が崩れそうなときは、大きく動くより、倒れないための小さな支えを作ることから始めてみてください。
